盆栽>斜幹の魅力について

山の尾根や海辺、川辺近くの傾斜地に根をしっかりと踏ん張り
強い風に逆らいながら生育する樹形です。斜幹の姿を眺めてい
ると、風の音さえ聞こえるような気がします。
この樹形の持ち味は、山風や潮風に半ば倒されながらも、なお
力強く立ち上がって伸びようとする、自然の樹木にみなぎる生命
力でしょう。太幹の古木にも、ごく細い若木にも共通する魅力で
す。

斜幹は、盆栽の中でも最も不安定な樹形といえます。いくら根
張りが四方に伸びていても、幹が極端に傾いていているのですか
らしかたありません。それでいて、けっして不安定な印象を与えない
のは、長短の枝によって重心が移り、ユニークな安定感が生ま
れているからです。

逆に役枝の配置や長さが幹の傾斜と調和しないと、たちまちバ
ランスを失って、今にも倒れそうな朽ち木同然の樹形になって
しまうでしょう。
模様木や直幹に仕立てるにはすでに幹が太くて矯正できない
ような木を、幹軸を生かして斜幹に仕立てることもあります。